最近、JTCおじさんって言葉をよく見かけますよね。
なんとなく想像できるかもしれませんが、「昭和の日本企業で働くおじさん」をイメージしてもらえば、恐らく合っています。
・メンツを重んじる
・変化を好まない
・しかし、面倒見がいい
もし、JTCおじさんがあなたの上司になってしまったらどうなるでしょうか?恐らく、お互いの価値観の違いに悩まされると思います。
日本の好景気を知っている世代と知らない世代では、価値観がまったく違うからです。真逆と言っていいかもしれません。
なので、こちらはJTCおじさんの価値観と気持ちを汲み取った対応をする必要があります。
上手に付き合うことができれば、うまく利用して出世に有利に立ち回ることも可能です。
私も、創業100年のJTCにいたことがあったので、JTCおじさんの特徴は良く観察していました。
この記事では、JTCおじさんの特徴だけでなく、もしJTCおじさんと関わりを持たなければならなくなったときの注意点を解説します。
Contents
JTCについて
JTCとは?
JTCとは「Japanese Traditional Company」(日本の伝統的企業)という英語の略です。正式な名前というわけではなくネットのスラングとして生まれました。
JTCという言葉に共感する人も多いようで、Xなどで話題になっています。
昭和の香りを感じる企業
JTCは、昭和を象徴する企業文化を今も色濃く残しています。
日本の好景気の中で育まれた、伝統的な働き方や独特のルールが根付いています。
しかし、いまや若者を中心にその価値観が通じない人が増えています。だからこそ、JTCという造語が生まれているのです。
良く言えば「古き良き」、悪く言えば「時代遅れ」
JTCは良く言えば「古き良き」、悪く言えば「時代遅れ」です。
この二面性が、JTCの強みと課題を同時に生み出しています。組織が安定していることは良い面もありつつ、若手の昇進スピードが遅れるというデメリットももたらします。
JTCおじさんのあるある7選
2024年時点で50代以上の人材
多くのJTCおじさんは、就職氷河期より前に社会人になった人たちです。また、その人たちからの教えを受け継いでいる40代も当てはまります。
私の体感ですが、就職氷河期以降の世代とそれより前の世代では、考え方がはっきり分かれるような気がします。
日本が好景気だった時代の価値観が強く、持ち家志向や高級車志向が強い人が多いです。
昭和の価値観を体現した存在である
JTCおじさんは、昭和の価値観を体現したような存在です。
伝統的な企業文化の中で長年培ったやり方や考え方に固執する傾向があります。
もちろん、すべてが悪というわけではありません。しかし、変化を歓迎しない点は好ましく思わない人も多いのではないでしょうか?
年功序列を重んじる
JTCおじさんは年功序列を何よりも大切にしています。というより、年功序列が当たり前の環境で育ったので、実力主義を好ましく思わない人が多いです。
年齢や勤続年数がそのまま権力に直結するという考え方を持っています。
そのため、若手から意見が上がっても、「やりたくない」「効果がよくわからない」などの理由で感情的に一蹴されることがあります。
変化を嫌う
変化を嫌い、過去のやり方に固執するのもJTCおじさんの特徴です。
新しい技術が現れたとき、「慣れたやり方が一番いい」と言って現状維持にこだわります。
私が勤めた会社でも、業務改善提案をしたときに「困っていないから変えない」という理由で断られたことがありました。
現状維持にこだわり過ぎれば、組織の成長を妨げることにもなります。
社内政治に長けている
JTCおじさんは社内政治に長けた人が多いです。
昭和の日本企業では、上司の顔を立てる風潮が今より強いものであったことは、想像に難くありません。
社内政治がうまいからこそ、JTCで生き残れているとも言えます。その会社で昇進したい人にとっては、いい手本になるでしょう。
メールよりもFAX、電話が好き
JTCおじさんは、メールよりもFAXや電話を好みます。私の実感ですが、99%アナログ派です。
電話に関しては、「直接話した方が早い」という言葉を口にしがちです。FAXについても、セキュリティがどうこうと文句を言って、メールにしたがらない人が多いです。
しかし、本当の理由はそこではないと思います。要は、今までのやり方を変えるのが不安なんです。
JTCおじさんの最大の特徴である「変化を嫌う」という考え方から、やはり現状維持を選んでしまいます。
「俺は聞いてないぞ」とよく言う
JTCおじさんは、自分が関与していないことに対して不満を示す傾向があります。
「俺は聞いてないぞ」という言葉は、JTCおじさんにありがちです。
これはどちらかというと、情報共有の不足を指摘しているというより、自分の存在が無視されたことに対して怒っています。
これは、「メンツを大切にする」という考え方に反するからです。
JTCの特徴
変化を好まない
JTCおじさんに限らず、JTC自体も変化を嫌いがちです。
既存の方法にこだわり、新しい取り組みに対して慎重になる傾向があります。よく言えば堅実でしょうか。
現状維持をしやすい一方で、革新が進みにくいという課題も抱えています。
終身雇用、年功序列
JTCでは、終身雇用や年功序列といった雇用形態がいまだに根強く残っています。この制度は会社の運営に安定感をもたらし、従業員の長期的なキャリア形成を促進します。
反面、生産性の低い人が会社にしがみ続ける原因となる制度でもあります。
決裁手続きを重んじる
JTCでは社内決裁の手続きが重要視されています。
役職の階層構造に従って、慎重に承認を得ることで組織の秩序が保たれています。社内規定によっては、どんな簡単な書類でも役員クラスまで承認をもらわなければならない場合もMあります。
一方で、プロセスの多さが原因で承認が終わるまでに時間を要します。迅速な意思決定が求められる場面では対応の遅さが課題となることもあります。
組織が安定している
JTCの組織はよくも悪くも安定しています。
変化を嫌い現状維持を好む考え方が、かえって安定した運営を実現しているとも言えます。
上下関係も年功序列で決まっているので、実力のみで昇進することはできません。言い換えると実力がなくても、勤続年数によってある程度の地位は保証されます。
JTCおじさんが否定的に思われる理由
成功体験を押し付けてくるから
JTCおじさんは、自分の過去の成功体験を絶対視しそれを押し付ける傾向があります。
「俺がこうやってきたから」
「こうすればうまくいくから」
確かに、昔はそれでうまくいっていたのかもしれません。しかし、会社は変わらずとも、入社する従業員の価値観は変わり続けています。
特に、Z世代と呼ばれる若者の価値観は、JTCおじさんの考え方と相いれないものも多いはずです。
それにもかかわらず、思考停止して過去の成功体験を語る人が多いため、若手社員のモチベーションを下げる一因になっています。
自慢話が長いから
自分の功績や武勇伝を語ることが好きで、会話が自慢話に偏る人が多いです。
どういうわけか知りませんが、JTCの中核にいる50代は、部下に対して自慢話を聞かせることが大好きな人が多いです。
飲み会になると、2時間ぶっ通しで自分の話をし続ける人も少なくありません。おそらく、今の功績がないから過去の栄光を語り続けるのでしょう。
上司の自慢話を聞き続けて楽しいと思う部下は果たしているのでしょうか?
反面教師にするしかありません。
説教が長いから
JTCおじさんの中には、部下に対して説教を始めると止まらない人がいます。
「俺の若いころはこうだった」
「俺がこうやってたんだからお前もこうするべき」
その説教が長いんです。しかも、内容に客観性を欠くことが少なくないです。教訓を語っているというより、自己満足のために話しているように見えることがあります。
本当に相手のためになる説教だったら、5分以上の長話を聞かせる必要はありません。湧いてくる感情をそのまま伝えているだけだから、長くなるんです。
これも、JTCおじさんが若手社員から煙たがられる原因です。
新しい考え方を否定するから
JTCおじさんは、新しいアイデアや技術に対して否定的な態度を示しがちです。
「そんなものは役に立たない」
「慣れた方法が一番だ」
変化を嫌うという心理も働いていますが、自分の知らない知識が入り込んでくることが怖いのかもしれません。
自分が教えられない新しい分野なので、もし受け入れてしまえば自分の影響力が減ることにつながるからです。
この態度も、若手社員の意欲を削ぐ結果にもつながります。
上下関係に厳しいから
JTCおじさんは上下関係を非常に重視します。
年功序列が色濃い時代で育ったため、役職にこだわる人が多いです。
実際に、私が新卒のときに入った創業100年のJTC企業では、役員に対して「〇〇部長、〇〇事業部長」と呼ぶようにと注意されていました。
しかし、今の時代、役職に関係なく「さん」付けで呼び合う会社はかなり多くなっています。
過度な上下関係は部下を委縮させるため、現場からの報連相の妨げになります。
風通しを悪化させる一因でもあります。
役職=自分の権力だと思い込んでいるから
JTCおじさんは、役職に就くことで自分自身が偉くなったと考える人が一定数います。
昇進を第一の目的としており、役職が付いたときは自分から周囲に自慢したりします。
しかし、役職が付いたのをいいことに、部下に対して好き勝手したがる人がまれにいます。役職はその人に付いた役であって、その人自身の価値を上げるものではありません。
そのような上司は、部下の意見を聞き入れず、指示を一方的に押し付ける場面が目立ちます。
ハラスメントに躊躇がないから
JTCおじさんはハラスメントを無自覚で行う人が多いです。
ハラスメントという言葉さえない時代に生き、スパルタ教育を受けて育った世代だからでしょうか。
50代のおじさんは自分が上の立場なので、部下に何をしてもいいと考えている人が少なくないように思います。
その無神経さがある限り、若手からの尊敬は得られないと思います。