人手不足で困ってる会社って、正直ざまあみろって思いますよね。
職場がやばいのにも関わらず、人を雇わず従業員を酷使したり。当然の結果だと思います。
でも、ただのざまあみろで済む状況ではありません。会社の倒産に関わる問題だからです。
もっとざまあみろと思うかもしれません。しかし、あなたが人手不足の会社に勤めていたら、辞め時を考える必要があると思います。
他の人が辞めたときに、あなたにその分の仕事が降ってくる可能性があるからです。人手不足のブラック企業は、人を残すという考え方は持っていません。
「残っている人間にやらせれば済む」と考えています。
だから、転職の準備をしつつ辞められるようにしておけば、ダメージが大きくならないうちに辞めることができます。もしかしたら、会社に大ダメージを与えることができるかもしれません。
まさにざまあみろ、ですね。
人手不足は原因があるからこそ起こる問題です。ここでは、人手不足の会社に対してざまあみろ!と思う理由と、その背景を中心に解説します。
Contents
人手不足とは何か?現状の理解
人手不足の定義
人手不足とは明確な定義はありませんが、必要な労働力が確保できず、業務が円滑に進められていない状態を指すと考えられます。
下の図は、ハローワークにおける求人の充足率のデータです。「充足率」とは、新規求人に占める就職件数の割合を言います。
つまり、新規求人に対して求職者が就職した割合です。
出典:『令和6年版厚生労働白書』第2-(1)-17図
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/24/dl/24-1-2-1.pdf
上の図を見ると2023年は、フルタイム労働者の充足率は10%ほどしかありません。要するに、ハローワークに10件求人を出したら、内9件は採用まで至らない状況に陥っているということです。
ハローワークのデータなので、民間の職業紹介サービスでは少し違うかもしれません。しかし、2010年には30%以上あった充足率が3分の1までに減ったことを考えると、人手不足に悩まされている企業は増えているはずです。
ただ単に人数が足りないだけでなく、必要なスキルや経験を持つ人がいない場合も人手不足といえます。
この問題が深刻化するほど、生産性の低下やサービスの質の劣化が避けられません。職場がやばい状態です。
日本における人手不足の背景と原因
日本では人口の減少と高齢化による、労働人口の減少が人手不足の要因となっています。
我が国の生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピークに減少しており、2050年には5,275万人(2021年から29.2%減)に減少すると見込まれている
出典:『令和4年版 情報通信白書 令和4年版 情報通信白書|生産年齢人口の減少』総務省
2021年から2050年の間に、2200万人近くの働き手が減る見込みです。恐ろしくないですか?人手不足は間違いなくやばい状態になっていきます。
労働市場では若年層の数が減少し、特定の業界では新しい働き手を見つけるのが難しくなっています。
さらに、都市部と地方の格差も問題です。地方では特に人材の確保が難しい状況です。
特に深刻な業界
建設業界
建設業界では高齢化が顕著です。現場で働く労働者が減少しています。
・長時間労働と出勤日数の多さ
・若手不在による業界の高齢化
・職人をなどの人材育成の遅れ
とどめを刺すのが建設業における残業規制です。
2024年4月1日から施行された、残業時間の上限が年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満とする規制です。
この規制により、ベテランを長く働かせることも難しくなっています。
またキツイ、汚い、危険な仕事なので、若い世代がやりたがりません。また、土曜日に現場を進めるという慣習も残っているので、今の若者の価値観に合わないんです。
介護業界
介護業界では、高齢化社会の進行に伴い需要が急増しています。しかし、需要が増しても従業員の待遇は良くなりません。
2024年4月1日から介護報酬の改定が行われましたが、月2.5%しか上がりませんでした。月給が24万円だとすると、たったの6000円です。
また、やはり身体に負担が掛かる仕事なので、介護職に携わりたいという人が減る要因にもなっています。
飲食業界
飲食業界も深刻な人手不足に直面しています。飲食業界は、土日祝日や深夜の勤務が多く、労働環境が厳しいと見られがちです。
帝国データバンクの調査によると、飲食店では非正社員の人手不足割合が非常に大きく、2023年4月でなんと85.2%となっています。
(人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月))
昨今では、カスハラといった客からの嫌がらせの問題もあり、なり手が少なくなっている状況です。
さらに、低賃金やキャリア形成の難しさも課題となり、他の業界に流れる人が増えています。
人手不足倒産とは?
人手不足倒産の現状
人手不足倒産とは、必要な労働力が確保できないことで事業運営が行き詰まり発生します。
帝国データバンクの調査によると、2024年の人手不足による倒産件数は、過去最多の342件となっています。前年の260件を大幅に超えています。(人手不足倒産の動向調査(2024 年)より)
団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、さらに加速していくことが考えられます。
人手不足による経営危機
人手不足は経営の根幹を揺るがす問題です。
業務の効率が低下し、納期が守れない、サービスの質が落ちるなど、顧客離れを招く原因となります。
また、残った従業員に過剰な負担がかかり、さらに離職者が増えるという悪循環に陥ることもあります。
この状況が続けば、経営そのものが成り立たなくなり、最終的には倒産に至るのです。
経営者による原因の責任転嫁
人手不足に悩む企業側から、責任転嫁と見られる発言が見られることも少なくありません。
「人が定着しないから」
「人が応募してこないから」
「最近の若い人は骨がないから」
しかし、時代の変化に追いついて人材を育てるのも経営者の役割です。
例えば、労働環境の改善や報酬アップの提示ができていれば、人材確保は可能だったのではないでしょうか?
あと30年で労働人口は3割も減るんです。現状維持のままでは間違いなく潰れます。職場がやばいのに、なぜ人を雇わないのでしょうか。
なぜ「ざまあみろ」と思われるのか
人手不足を放置した結果だから
人手不足は企業が対策を講じなかった結果と見る人もいます。そのような経営者の怠慢による結果を見て、「ざまあみろ」と思うんです。
人手不足だからといって、しわ寄せを今いる社員に押し付けると、離職のリスクがより大きくなります。ただでさえ人手不足な状態で、連鎖退職が起きたら大問題です。
職場がやばい状況にも関わらず、人を雇わなかったり従業員を酷使したりすれば、人手不足が深刻化するのは当たり前です。
経営者側が人材を残す努力をしていれば、人手不足は避けられたかもしれません。それにも関わらず、対策を打たなかったことへの批判の表れです。
従業員は悪くありません。会社が悪いんです。
ストレスとフラストレーションがたまっているから
仕事でのストレスやフラストレーションを発散する目的で、会社にざまあみろと言いたくなることもあります。
私はブラック企業に勤めていたころ、サポート役の社員が突然バックレて上司が困っている場面を何度もみました。その度にざまあみろと思っていました。
人手不足で経営者が困っていても、まったく同情できません。なるべくしてなった結果だからです。
この感情は心理的な解放として機能することも少なくありません。
職場に対する不満と嫌悪感が爆発しそうだから
強い不満や嫌悪感を発散するために、捨てゼリフ的な目的で言われることもあります。
職場環境が悪かったり、従業員が奴隷のように扱われていた場合、経営者や上司が困っていても、ざまあみろと思う人も多いのではないでしょうか。
私の場合、パワハラ気質な経営者が重い風邪に掛かって苦しんでいるのを見たことがあります。
しかし、全く同情できませんでした。強烈なハラスメントで辞めさせられた人の方が、よほどつらい思いをしたはずだからです。
企業が経営不振などに陥った際に「ざまあみろ」と感じるのは、その感情が表に出た形とも言えるでしょう。
退職が決まり自由を実感しているから
社員は基本的に経営者に逆らえません。しかし、退職が決まれば別です。会社に対して、今までの恨みつらみを自由に言うことができます。
「全然改善しようとしなかったんだから、当たり前ですよね?」
「人が定着しないとまずいって何回も言ったじゃないですか」
退職を決めた後に、欠員補充をしなければと騒いでいるのを見ると滑稽ですよね?まさに「ざまあみろ」という感情が湧き上がるのです。職場がやばいのに人を雇わなかった会社が悪いんです。
経営者に従わなくてよくなったサラリーマンは、マリオで言うスター状態です。無敵です。
人手不足でざまあみろと思われる会社の特徴
長時間労働が常態化している
長時間労働が当たり前になっている会社は、当然ですが従業員に過剰な負担を掛けています。
そんな会社が人手不足に陥ったとき、従業員から「ざまあみろ」と言われても仕方ありません。
人手不足を従業員の長時間労働で補うような会社は、働き手が離れていくのは当然の結果と言えるでしょう。
過酷な労働環境
労働環境が劣悪な会社も避難の対象になりやすいです。
・安全基準を無視した現場作業
・残業代なし
・最低賃金を下回る給料
そもそも法律さえ守ってもいないので、人手不足になっても当然という側面があります。他社と比べて労働環境が劣悪な場合、耐えられず退職する従業員は少なくありません。
法律も守らずに人手不足で困っていても、経営者には同情できません。むしろ、ざまあみろと思ってしまいます。
ハラスメントの常態化
パワハラやセクハラが放置される職場では、離職率が高まるのは当然です。
今は誰もが知る大企業の社長でさえ、セクハラが発覚して解任されるようなご時世です。ハラスメントを放置するのはロクな会社ではありません。
ハラスメントは従業員離職率を大幅に上げる要素です。
このような職場は、人手不足に陥った際に「ざまあみろ」と思われます。経営陣の従業員軽視に対する、当然の反応と言えます。
会社に改善意欲がない
本当にやばいのは、問題を目前にしても何も対応しようとしない経営者です。職場が困っているのに、人を雇わないどころか人手不足に対して何も思わない始末。
こんな会社が人手不足で苦境に陥ったとしても、自業自得と言っても差し支えないでしょう。
人手不足で職場がやばいのに人を雇わない。または、定着率を上げようとしない。どう考えても会社が悪いです。
退職を考える際の注意点
合法的な退職プロセス
退職を考えた際には、まず合法的な手続きに従いましょう。
民法では、退職の意思表示は通常2週間前までに行えば、会社の承認を得ずに退職することができます。
しかし有期雇用の場合、契約開始の初日から1年以上経過しなければ辞職することができないので、注意が必要です。
もし、就業規則で縛りがあっても民法が優先されます。例えば、1か月前に通知しなければならないと書いてあっても、法的な縛りはありません。最低2週間前には退職の意思を伝えましょう。
また、退職時の有給休暇は、会社が拒否することができないのでしっかり使いましょう。
引き継ぎの重要性
退職時には業務の引き継ぎを行う必要があります。最低限でいいので、引き継ぎ資料を作成し、退職までに業務を引き渡しましょう。
辞めるんだから引き継ぎなんてどうでもいいじゃないか。と思うかもしれませんが、引継ぎをぞんざいにおこなうと、会社から嫌がらせを受ける可能性があるので、最低限は進めるべきです。
退職後のキャリアを成功させる方法
自己分析と職場選びの重要性
退職後のキャリアを成功させるためには、自分の価値観をはっきりさせること大切です。
転職は人生の転機となりますので、職場選びはじっくりと行いましょう。
自身の強みや弱み、これまでの経験やスキルを振り返り、今後の目標を明確にすることで、自分に合った職場選びが可能になります。
また、自分の価値観や働き方に合った企業文化を見極めることも大切です。長期的な成長を見据えた選択ができるよう、情報収集を行いましょう。
ハローワークの利用
ハローワークの利用は絶対に検討すべきだと思います。穴場求人が意外と多いからです。
厚生労働省の一般職業紹介状況(職業安定業務統計)によると、ハローワークの利用者年齢層は約65%が40歳以上です。
つまり、若い人にとっては年齢的アドバンテージが大きいことが特徴です。
転職支援サービスの活用
転職支援サービスは仕事探しにおいて強力な味方となります。
特に転職エージェントは、担当者が履歴書の書き方や面接対策をサポートしてくれるほか、個々のスキルや希望に合った求人情報を提供してくれます。
特に、市場に出ない非公開求人にアクセスできる点は大きなメリットです。積極的に活用して新たな一歩を踏み出しましょう。
しかし、競争率が高かったり、エージェントの質にばらつきがあるというデメリットがあります。
世界の人手不足への取り組み
アメリカの移民政策
アメリカでは、人手不足の解消策として移民政策を積極的に活用しています。
人口に占める移民の割合は2021年時点で13.6%である
出典:「ファイナンス」令和5年10月号、岩松 大洋、財務省
特に、農業や建設業といった分野では、外国人労働者が重要な役割を担っているようです。
また、専門スキルを持つ労働者を対象にしたビザプログラムも整備されており、国際的な人材の流入を促進しています。
しかし、移民政策に対する意見は賛否両論です。不法移民の問題もあり、移民を受け入れることの弊害が多いです。
他国と比較した日本の課題
日本では、外国人労働者の受け入れが進んでいるものの、他国と比べて進み方が限定的です。
外国人から見たら、日本語しか通じない、労働環境が悪いなどの壁があります。また、日本人から見ても移民受け入れによる治安の悪化を懸念する人も少なくありません。
まとめ:人手不足の会社で勤め上げるか?
職場がやばいのに人を雇わない会社は、間違いなく衰退の一途です。
冒頭に書いた通り、労働人口が10年で10%減るペースで人手不足は進んでいるのです。現状維持は10年も続けられないと考えた方がいいです。
怠慢な経営者は、核となるベテラン社員が辞めない限り人手不足を何とも思いません。少数精鋭で回した方が人件費が増えないからです。
確かに、転職回数がむやみに増えることは問題です。しかし、人手不足の会社にしがみついても待遇が改善することはありません。
人気業界でない限り、労働人口が減っているのに応募者が増えることは期待できないからです。
人手不足の会社では経験だけは積むことができるので、転職の準備をしながら時期をうかがいましょう。