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フレックスタイム制ってずるいよね?でも残業代が減る闇もある。

営業
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フレックスタイム制ってずるくない?なんで私の部署より早く帰れるの?
施工管理
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俺もフレックスタイム制使いたいなー。工場勤務じゃ無理だけど…

フレックスタイム制ってずるいですよね。導入している企業は少ないけど、業務時間を自分で決められてうらやましい。。。

9時から18時までと労働時間が決まっている人にとっては、うらやましいのは当たり前です。

しかし、本当にうらやましいなら、自分がフレックスタイム制を導入している会社に飛び込んでしまえばいいのです。

自分の裁量で労働時間を決められることで、あなたの追い求めるワークライフバランスを得ることができるかもしれません。

例えば、月の前半に業務を集中させて、金曜日だけは15時上がり。思う存分飲み歩くということも可能になるかも??

ここでは、フレックスタイム制がずるいと思う方のために、フレックスタイム制がずるいと思われる理由と、その制度を中心に解説していきます。

Contents

フレックスタイム制とは

フレックスタイム制の仕組み

フレックスタイム制は、一定の労働時間を満たすことを求めるものの、出社・退社の時間を労働者自身で調整できる仕組みです。

例えば「1か月間の総労働時間が160時間」と定めている企業があるとします。

その会社では、1カ月で働く時間が合計160時間になれば、1日10時間働く日や、5時間だけ働く日があっても問題ありません

勤務時間も「午前7時から午後7時まで」「午前10時から午後3時まで」など、従業員が自由に設定できます。

基本的なルールとしては、月の勤務時間が決められていますが、一日の労働時間をフレキシブルに変更することができます

企業によって具体的な運用方法は異なりますが、労働者の自主性が重視されます。

コアタイム

コアタイムは、一日のうち必ず勤務している必要がある時間帯を指します。

チームでの作業や会議がある場合、フルフレックスだと出席できない従業員が出る場合があります。

よって、全員が出社してもらわないと困る時間帯をコアタイムとして設定する企業もあります。

清算期間

清算期間とはフレックスタイム制において、労働者が働くべき時間(所定労働時間)を定めた期間をいいます。

つまり、1日の労働時間は変動しても、清算期間ごとに決められた労働時間分、出勤する必要があるということです。

清算期間は最大3か月まで決められるようになりました。

例えば3か月の清算期間で合計480時間の労働時間が定められた場合、文字通り3か月で480時間労働を満たす必要があります。

フレックスタイム制はずるいのか?

不公平を感じる人がいる

フレックスタイム制は、制度を活用できない社員から不公平の声が出ることがあります。

たとえば、制度を活用できない社員がいる中で、他のチームの社員がフレックスタイムをフル活用していれば、不満に思う人も少なくないでしょう。

フレックスタイム制を使えないことを頭ではわかっていても、他の社員が活用しているところを見れば、羨ましい、ずるいと思ってしまうことは容易に想像できます。

遅く来て仕事を始めるのがずるい

フレックスタイム制では、出勤時間を遅くすることができるため、昼前になってようやく会社に来ることを快く思わない人がいるかもしれません。

本来、フレックスタイム制で認められた時間であれば、何時に出社しようと従業員の自由です。しかし、他の社員が早く出勤しているにも関わらず、遅く来て仕事を始めることが「ずるい」と思われることがあります。

特に、朝早くから働くことにこだわる人は、フレックスタイム制に対して良く思わない人もいると思います。

従業員同士の意識と価値観の違いが原因です。

早く帰るのがずるい

逆に、フレックスタイム制を活用することで、終業時間が早まることを快く思わない人もいます。

特に古い考えを持つ上司は、自分が遅くまで働いているのに、部下が早く帰ることに対して良く思わない人も少なくありません。

同じ時間働いていても、ただ終業時間が早いだけで「ずるい」という感情を引き起こす要因になります。

自由な時間に仕事をすることがずるい

自由な時間帯に仕事を進められることに対してずるいと思う人もいます。

例えば、工場のラインに勤務している人が、フレックスタイム制を活用している事務職を見た場合です。

「俺たちは時間を選べないのに、事務ばっかりずるい!」

フレックスタイム制は、職種によって採用できる場合とできない場合があります

また、取引先の会社が固定労働時間制の場合、自社がフレックスタイム制を導入していることに対して羨ましがられます。

フレックスタイム制の闇

違法な名ばかりフレックス

フレックスタイム制の闇として、企業が違法な運用をする「名ばかりフレックス」が挙げられます。

・コアタイム外に実施される会議に参加させる

・コアタイムに遅刻したことに対し減給する

・労働時間管理の複雑さを利用し、意図的に残業時間を少なくされる

「名ばかりフレックス」は、法的に問題のある運用である可能性があります。

従業員は、自分の働き方が合法であり、労働時間が適切に管理されているかを確認する必要があります。不正があれば早期に対応することが大切です。

フレックスタイム制導入後の違法な運用

フレックスタイム制は、従業員に柔軟な働き方を提供するための制度です。しかし、企業によっては違法に運用されている場合があります。フレックスの闇です。

適切に運用されていないフレックスタイム制は、労働者の権利を侵害する可能性があります。

・過剰な労働時間の強制

・残業代の未払い

・コアタイム外の勤務の強制

・業務量の過剰要求

・違法な労使協定

フレックスタイム制の目的

ワークライフバランスの実現

フレックスタイム制を導入することで、従業員は生活スタイルに合わせて仕事の時間を調整することができます

例えば、子育てや介護など、家庭の事情に応じて勤務時間をずらすことができます。

フレックスタイム制によって、プライベートと仕事をうまく両立させることが可能となります。

従業員満足度が向上し、会社への忠誠心や仕事へのモチベーションを上げる要因となります。

通勤ラッシュを避けられる

フレックスタイム制のもう一つの大きな利点は、通勤ラッシュを避けられることです。

特に都市部では、朝夕の通勤時間帯に人混みや交通渋滞が集中するため、毎日ストレスを感じながら出勤する必要があります。

フレックスタイム制では、出退勤の時間帯を自由に調整できるため、ラッシュアワーを避けて快適に通勤できるようになります。

従業員のストレスが減少することで、より効率的な仕事環境を実現することに繋がります。

生産性の向上

フレックスタイム制は、生産性を向上させる目的として取り入れられる場合があります。従業員が自分にとって、最も集中できる時間帯に仕事をすることができるからです。

朝型の人は早朝から、夜型の人は遅い時間に仕事を始めることができ、個々の生活リズムにに合わせた働き方が可能になります。

結果として、全体的に生産性が向上する可能性があります。また、柔軟な勤務形態は、従業員のモチベーションを高め、業務への集中力を高めることにも繋がります。

他の働き方との違い

固定労働時間制

固定労働時間制では、勤務時間が固定された労働時間制です。法定労働時間の範囲内(1日8時間、週40時間)で働く勤務形態です。

毎日決められた時間に従って働く必要があります。多くの企業では9時から18時、10時から19時に定められている場合が多いです。

フレックスタイム制との違いは、出勤時間と退勤時間が厳格に決まっており、変更の自由がないことです。このため、労働者は自分の生活スタイルに合わせて勤務時間を調整することができません。

スーパーフレックスタイム制

スーパーフレックスタイム制は、フレックスタイム制をさらに柔軟にした制度です。

フレックスタイム制にはコアタイムがりますが、スーパーフレックスタイム制はコアタイムがありません

そのため、従業員は働く時間帯を完全に自由に選ぶことができます。成果主義の企業や職種で導入されることが多いようです。

自由度は高いですが、フレックスタイム制よりもさらに高い自己管理が求められます。

時短勤務

時短勤務は、働く時間を短縮する勤務制度です。

フレックスタイム制との大きな違いは、総労働時間そのものを減らす点です。

時短勤務(短時間勤務制度)とは、子育てや介護などの両立支援を目的に「育児・介護休業法」で定められた制度です。3歳未満の子どもを養育する従業員は、一定の条件を満たせば所定労働時間を6時間までとする短時間勤務をする権利があります。

    出典:『時短勤務(短時間勤務制度)とは?内容や期間、メリットを解説』パソナ

フレックスタイム制では、働く時間帯を自由に調整できるものの、基本的に勤務時間の長さは通常通りです。

時差出勤制度

時差出勤制度では、定められた時間の範囲内で、従業員が出社時間をずらすことができます

コロナ禍々の中で採用する企業が増えた制度です。出退勤を前倒しにしたり後ろ倒しにして、通勤の混雑を避ける目的で設けられました。

あらかじめ決められた労働時間の中から、労働者の申し出により会社が決定します。

(A)8:00始業、17:00終業

(B)9:00始業、18:00終業

(C)10:00始業、19:00終業

通勤ラッシュを避けることができますが、フレックスタイム制とは異なり決定権は会社にあります。

裁量労働制(みなし労働制)

裁量労働制は、あらかじめ会社と労働者で合意の上定めた時間を、労働時間とみなす制度です。実は、闇の深い制度で有名です。

実際の労働時間でないことがポイントです。たとえば、労働したとみなす時間(みなし労働時間)を8時間と定めた場合、実際の労働時間が2時間でも10時間でも、同じ8時間分の賃金が発生します。

しかし、会社が従業員に合意を強制し、膨大な仕事を与え残業代なしで働かせることが可能な制度なので、入社する際は注意が必要な制度です。

変形労働時間制との違い

フレックスタイム制と似ていますが、最大の違いは企業側が労働時間を設定する点です。

また目的も異なり、業務の繁閑に合わせて労働時間を調整し、無駄な残業を減らすための制度です。

繁忙期には長時間働き、閑散期には早く帰宅するといったメリハリのある働き方ができます。

フレックスタイム制のメリット

ワークライフバランスがとりやすい

フレックスタイム制の最も大きなメリットは、ワークライフバランスの両立がしやすくなることです。

従業員は、自分の生活スタイルに合わせて働く時間を調整できます。仕事の時間を調整できることで、家族との時間や趣味、休息に費やす時間も確保しやすくなります

確かに、採用できない職種や業種もあります。しかし、通勤ラッシュを避けることができ、自分の働きたい時間帯に働けるというのは大きなメリットです。

就職希望者が増える

フレックスタイム制は、働き方に柔軟性を求める求職者にとって魅力的な制度です。

求人表にフレックスタイム制という文字があるだけで、応募してみようと思う人も一定数いると思います。私もその一人です。

ライフワークバランスを重視したいと考える人々にとって、この制度は非常に魅力的です。従って、フレックスタイム制を導入している企業は、より多くの就職希望者を引き付けることができます

特に、若年層や子育て世代など、柔軟な働き方を求める人々に対するアピールポイントとなります。

離職率が低下する

フレックスタイム制は、従業員が自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を調整できるため、ストレスや職場の不満を軽減することができます。

結果として、従業員の離職率を低下させる効果も期待できるでしょう。

従業員が自分の時間を大切にできることで、企業に対する満足度が向上します。定着率の向上も期待できます。

従業員のモチベーションアップ

フレックスタイム制は、従業員に働く時間を選択する裁量を与えることで、モチベーションの向上にも寄与します。

始業時間や終業時間を自分の都合に合わせることができるため、仕事に対するモチベーションが上がることが期待できます。

通勤時間の削減およびストレスの軽減

フレックスタイム制では、従業員が出退勤時間を調整できるため、通勤ラッシュを避けることができます

よって、混雑による通勤ストレスを減らす効果が期待できます。車通勤の場合は、通勤時間自体も短縮することができるでしょう。

通勤にかかる時間とストレスが軽減されることで、その分従業員は仕事に集中する時間を増やすことができます

仕事の効率化

フレックスタイム制では、従業員が最も集中できる時間帯に働くことができます

もちろん、人によって生産性が高い時間帯は異なります。朝方の人もいれば夜型の人もいます。それぞれが集中しやすい時間帯に働くことで効率的に業務をこなせます

このように、フレックスタイム制が導入されることで、従業員の生産性が向上が見込めるのです。

フレックスタイム制のデメリット【普及しない理由】

職種によっては不可能

フレックスタイム制は、すべての職種に適用できるわけではありません

特に、製造業や接客業などでは、柔軟な勤務時間を確保することが困難です。時間と場所に縛られる業種や職種は、フレックスタイム制導入は難しいでしょう。

このため、フレックスタイム制はすべての業種に適用できるわけではありません。業種や職種ごとに適用可能かどうかを考える必要があります。

労働時間管理が難しい(労働時間の過不足、過労のリスク)

フレックスタイム制では、労働時間管理が難しいというリスクがあります。労働時間の管理が従業員に委ねられるため、日ごとに従業員の労働時間が変わるからです。

自分で出退勤時間を決める自由がある一方で、長時間働きすぎてしまうことや、逆に決められた労働時間に達さないこともあり得ます。

特に、自己管理が苦手な従業員にとっては、過労や労働時間の不足が生じる可能性が高いです。企業側はこれを監視し、適切に調整しなければなりません。フレックスなのに、実態は闇であるといったことになりかねないからです。

コミュニケーション不足になる可能性がある

フレックスタイム制の導入により、コミュニケーション不足が生じる可能性があります。

従業員が異なる時間帯に勤務するため、職場で顔を合わせる機会が減少するからです。トラブルが発生したり、意思疎通がうまくいかないリスク発生することが考えられます。

円滑なコミュニケーションを保つために、コアタイムを設定したり、定期的な会議をする必要があるかもしれません。

上がらないフレックスタイム制の導入率

フレックスタイム制の導入率は、企業の規模や業種によって異なります

厚生労働省による令和5年の調査によると、フレックスタイム制を導入している企業はわずか6.8%となっています。

規模別にみると、従業員数1,000人以上の企業では30.7%まで上がっているのに対し、30人から99人の規模ではわずか4.2%です。

特に大企業や柔軟な働き方が求められる業界では導入が進んでいますが、中小企業ではほとんど進んでいないことがうかがえます。

一部の社員や部署に導入すると不満が出る

フレックスタイム制を一部の部署にのみ導入する場合、他の社員から不満が出ることが予想できます。

「なぜ自分たちはこの制度を利用できないのか」

「あの部署だけフレックスでずるい」

特に、接客業やシフト勤務が必要な部署と、フレックスタイム制が可能な内勤とで待遇に差が生じれば、間違いなく不満に思う社員が出てくるでしょう。

導入率の低さは、平等性を保つためという理由もあるのかもしれません。

出社時間が遅くなる懸念がある

フレックスタイム制の導入により、一部の社員は仕事を始める時間が極端に遅くなる可能性があります。

コアタイム次第ですが、従業員は決められた範囲の中で出社時間を遅くすることができます。

出社時間が遅くなることで、他の社員や上司との調整が難しくなったり、チームの生産性に影響を与えたりするかもしれません。

フレックスタイム制が適している職種、業務

以下、フレックスタイム制が適している職種や業務です。

デザイン、ライティング、コンテンツ制作などのクリエイティブな業務では、集中力が求められるため、柔軟な働き方が生産性に繋がります。

また、職種としては経理も比較的フレックスタイム制を採用しやすいと言えます。

・自己完結できる業務、職種(経理、事務など)

・オンラインでできる業務(SEなど)

・クリエイティブな業務(webデザイナーなど)

これに限らず、会社によっては営業職でもフレックスタイム制を採用している会社もあります。

フレックスタイム制が適していない職種

フレックスタイム制はすべての職種に適しているわけではありません。導入が難しい職種を紹介します。

工場のライン、現場作業

生産ラインや現場で働く従業員の場合、決まった時間に決まった場所で作業を行う必要があるため、フレックスタイム制の採用は難しいです。

決められた時間に一定の人数が必要であり、個々の労働時間を自由に設定することができません

交代制で時間がキッチリ決まっている場合もあり、フレックスとはかけ離れた職種です。

接客業

飲食店や小売店などの接客業では、従業員の裁量で労働時間を決めることは困難です。他の従業員とシフトを合わせることが難しくなるからです。

フレックスタイム制を導入することで、必要なスタッフ数が確保できなくなる恐れがあります。サービスの質にも影響を及ぼす可能性があるので、フレックスとは遠い職業です。

営業職

営業職もフレックスタイム制の適用が難しい場合があります。

顧客とのアポやミーティングは、相手の都合により時間帯が決まってしまうので、フレックスタイム制はあまり適しません。

また、チームで協力して働く必要がある場合、勤務時間のズレがコミュニケーションや連携に支障をきたすこともあります。

フレックスタイムの導入には要件を満す必要がある

就業規則の規定

企業がフレックスタイム制を導入する際には、まず就業規則にその制度を明記する必要があります。

また、具体的な制度運用について、就業規則に基づいて従業員に周知することが求められます。

就業規則には、フレックスタイム制を導入するための詳細な条件(コアタイム、清算期間、勤務時間など)が明記されている必要があります。

労使協定の締結

フレックスタイム制を導入するためには、労使協定を締結することが求められます。

この協定には、フレックスタイム制の適用範囲や、残業代や労働時間に関する規定が含まれます。

フレックスタイム制を導入するためには、企業側と従業員側が合意する必要があります。協定を結ばないと、合法的に導入することはできません

まとめ:ずるいと思うなら、フレックスタイム制を導入している会社に転職

フレックスタイム制には、柔軟な働き方を求める従業員にとって魅力的な点が多いです。しかし、一方で「ずるい」と感じる人もいます。

もし、自分がフレックスタイム制を活かした働き方をしたいのであれば、こうした制度を導入している企業に転職することも、一つの選択肢です。

フレックスタイム制が導入されやすいのは、特にオンライン業務、クリエイティブ業務、自己完結型の業務などです。

周りから見ればずるいですが、入ってしまえば自分が羨ましがられる立場になれますよ!